腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
翌日、夜勤の仕事が終わったと、メールをすると、
休日のツカサさんは病院に迎えに来てくれている。
なんだか最近ツカサさんの部屋にばっかりいるみたいだ。
食事も洗濯もツカサさんの部屋でしているし、半同棲。って感じかな?
車に乗って、
「ツカサさん、私、毎日のようにツカサさんの部屋にいるんですけど、
お邪魔じゃないですか?」と聞くと、
「毎日いてくれると、僕は楽しいよ。」と私の顔を覗く。
「それって、同棲っていうんでしょうか?」と聞くと、
「ウサギは僕と一緒に住むのは嫌?」と聞くので、私は首を横に振る。
「そっか。嬉しいな。毎日ウサギが部屋にいるって思うと、安心だ。」
「安心ですか?」
「毎日、何してるかな?他の男とデートしてないかな。
って心配しなくていいってことでしょ。」
「他の男はいません。」とそっぽを向くと、
「わかってるつもりなんだけど、最近、可愛い。って言われてるの知ってる?
こないだ医局でいってる奴らがいた。って西野が言ってた。
恋人がいるって知っても、向こう見ずな若者が挑んで来ないとも限らない。
僕は会った時から、きっと、ウサギは人気が出るってわかってたからね。
先手を打ったわけだ。チョット、フライング気味だって僕は自分でわかってる。
ウサギの目に他の男が目に映らないうちに、僕が強引に口説いたって自覚もある。
ウサギ、他の男のことも知りたい?」と言ったので、
私はすごく腹が立ってきた。
ツカサさんは馬鹿なの?
オトナでオオカミのくせにちっとも私の気持ちがわかっていない。
「ツカサさんは、馬鹿なんですか?
私は半年前からツカサさんだけを見ています。
ツカサさんが笑うと嬉しくて、ツカサさんと目があうとドキドキして、
ツカサさんが好きって言ってくれて、すっごく嬉しかったのに、
抱き合って眠るのが幸せだって思ってるのに、
なんで、他の男の人の話?」腹が立って、興奮して、涙が出てきた。

「美雨、ごめん、
美雨の気持ちの確認をしました。
美雨と一緒に暮らしたい。
きっと僕は他の男に美雨を渡せないと思う。」と照れたように笑う。
「でもね、その前に美雨のご両親にご挨拶させて。」と私の顔を見た。



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