腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
遅めの朝食を食べ終わって、ウサギと一緒に食器を洗って、
ソファーに座ったけど、つけたテレビにちっとも集中出来ない。

「ウサギ、この間行った公園行かない?」と洗濯物を干していたウサギに声をかけると、
「ツカサさん、少し落ち着かないんですか?」とちょっと笑って、
「お天気もいいですし、前に行った喫茶店にも寄ってくれますか?
この間はまだ緊張してたからケーキを頼めなかったんです。」と返事をしてくれた。
「いくつでも食べていいよ。」と僕はじっとしていられなくなって、着替えることにした。
「本当ですか?えーっと、どうしようかなあ、モンブランは外せないし、
チーズケーキと、ショートケーキどっちにしようかなあ」と呑気に考えているみたいだ。
「3つとも食べていいから、ウサギ、用意して。」と言ったら、
「ツカサさんでも、緊張することってあるんですね。」
とベットルームにやってきて、背伸びをして、僕の唇にキスをして、
「大丈夫ですよ。私が味方ですから。」とにっこりした。

僕はウサギをぎゅっと抱きしめ、頭に唇をつけて、ウサギのシャンプーの匂いを嗅ぐ。
落ち着く匂い。
僕はすっかり、ウサギに飼い慣らされたオオカミだ。
そのうち、きっと、尻に敷かれてしまうかも。
そう思ったけど、
それも悪くないな。と心の中でつぶやく声が聞こえた。
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