腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
僕らはゆっくりお茶をしてからウサギの実家に向かった。
ウサギは宣言通り、ケーキを2個も食べた。
ちっとも緊張していないんだな。
車はスムーズにウサギの家に着く。
時間通りだ。
車を停めると、ウサギのお母さんがすぐに出てきて、
「いらっしゃい。」と笑顔で迎えてくれた。
ウサギは
「お父さんは?」と眉間にシワを寄せながら聞く。
そんな顔をしなくってもいいんじゃないかって思うけど、
「仏頂面で待ってる。」と僕に笑いかけるので、僕の緊張は再びMAXになる。
仕方ない。
22歳の1人娘の初めての彼氏がバツイチの34歳じゃ機嫌も悪いだろう。
僕は覚悟を決めて、玄関のドアをくぐった。
午後の陽が暖かく当たるリビングルームに通される。僕は入り口で、
「初めまして。美雨さんとお付き合いをさせていただいている、菅原と言います。」
と、深いグリーンの革張りのソファーに座った仏頂面に頭を下げながら、
この仏頂面は見覚えがある。と考える、
「…どこかで、お会いしていますか?」と言うと、ちょっと息を吐き、
「覚えていたんじゃ、しょうがないな。」と硬い表情のままで横を向いた。
ウサギが驚いて、お父さんに、
「どこで会ったの?!」ときつい声を出す。
待て、ウサギ、喧嘩しに来たんじゃないんだから。
「美雨さん、僕に話をさせて。すみません、僕はお顔しか覚えていません。
どこでお会いしたんでしょうか?」と聞くと、お母さんがソファーに座るように僕たちに薦め、
「お父さん、見に行ったんですか?」と呆れた声を出した。
「救急外来に…、柳部長のお知り合いの方だと…処置室にいらっしゃってましたか?」
と僕は向かい合ったソファーにウサギと並んで座りながら少し思い出す。
あの日は忙しかったから、よく覚えてないけど、目があったってだけだった。
でも、僕を見ていたのかと冷や汗が出る。
「君は上司のリュウって医者に怒鳴ってた。事故で2人運ばれきたとこだった。
君は、きっと手術してももたない、オペ中に死んだら、家族に会えない。
って、怒ってたけど、リュウって奴は自分がこのまま止血したまま、オペ室に入る。
あとは頼むって、柳部長といなくなった。
君は絶対死なせるなって、怒鳴って、悪態をついて、もう1人の怪我人を見ながら、
若いヤツに、手術に必要な血液の準備や、人員の手配をしてたみたいだった。
私は直ぐに処置室から、柳部長の部屋に行ったよ、怖くなったからね。」と静かに話した。
僕はその日の事を思い出していた。きっと、
『くそバカ、あほリュウ!!西野、クロスマッチして、ありったけ、血液合うやつ、かっぱらって手術室に入れ。』
って大声で叫んで怒鳴ったかな。と思い出していた。うーん、
「部屋で待ってたら、少しして、柳先生が戻ってきたよ。それから、君の事を少し聞いた。
あの時の患者さんはどうなったのかな?」と聞いたので、
「2日後に亡くなりました。意識は戻りませんでしたけど、
家族や、親戚の方がお別れできたと思います。
僕が主張したように手術しなければ、2時間後には亡くなっていたと思います。
きっと、家族は戸惑ったままだったでしょう。
上司の判断の方が正しかったんだと思います。」と言うと、
「柳先生は半分の確率で手術中に亡くなっていたと。運が良かった。と言っていた。
手術中に亡くなれば、家族には会えないで終わったはずだ。
どちらの判断も正しい。と言ってたよ。
まあ、リュウって男が強引だから、君がいつも大変らしいな。
でも、信頼しあっている、いいチームだと言ってた。」と少し微笑んだ。
ウサギは宣言通り、ケーキを2個も食べた。
ちっとも緊張していないんだな。
車はスムーズにウサギの家に着く。
時間通りだ。
車を停めると、ウサギのお母さんがすぐに出てきて、
「いらっしゃい。」と笑顔で迎えてくれた。
ウサギは
「お父さんは?」と眉間にシワを寄せながら聞く。
そんな顔をしなくってもいいんじゃないかって思うけど、
「仏頂面で待ってる。」と僕に笑いかけるので、僕の緊張は再びMAXになる。
仕方ない。
22歳の1人娘の初めての彼氏がバツイチの34歳じゃ機嫌も悪いだろう。
僕は覚悟を決めて、玄関のドアをくぐった。
午後の陽が暖かく当たるリビングルームに通される。僕は入り口で、
「初めまして。美雨さんとお付き合いをさせていただいている、菅原と言います。」
と、深いグリーンの革張りのソファーに座った仏頂面に頭を下げながら、
この仏頂面は見覚えがある。と考える、
「…どこかで、お会いしていますか?」と言うと、ちょっと息を吐き、
「覚えていたんじゃ、しょうがないな。」と硬い表情のままで横を向いた。
ウサギが驚いて、お父さんに、
「どこで会ったの?!」ときつい声を出す。
待て、ウサギ、喧嘩しに来たんじゃないんだから。
「美雨さん、僕に話をさせて。すみません、僕はお顔しか覚えていません。
どこでお会いしたんでしょうか?」と聞くと、お母さんがソファーに座るように僕たちに薦め、
「お父さん、見に行ったんですか?」と呆れた声を出した。
「救急外来に…、柳部長のお知り合いの方だと…処置室にいらっしゃってましたか?」
と僕は向かい合ったソファーにウサギと並んで座りながら少し思い出す。
あの日は忙しかったから、よく覚えてないけど、目があったってだけだった。
でも、僕を見ていたのかと冷や汗が出る。
「君は上司のリュウって医者に怒鳴ってた。事故で2人運ばれきたとこだった。
君は、きっと手術してももたない、オペ中に死んだら、家族に会えない。
って、怒ってたけど、リュウって奴は自分がこのまま止血したまま、オペ室に入る。
あとは頼むって、柳部長といなくなった。
君は絶対死なせるなって、怒鳴って、悪態をついて、もう1人の怪我人を見ながら、
若いヤツに、手術に必要な血液の準備や、人員の手配をしてたみたいだった。
私は直ぐに処置室から、柳部長の部屋に行ったよ、怖くなったからね。」と静かに話した。
僕はその日の事を思い出していた。きっと、
『くそバカ、あほリュウ!!西野、クロスマッチして、ありったけ、血液合うやつ、かっぱらって手術室に入れ。』
って大声で叫んで怒鳴ったかな。と思い出していた。うーん、
「部屋で待ってたら、少しして、柳先生が戻ってきたよ。それから、君の事を少し聞いた。
あの時の患者さんはどうなったのかな?」と聞いたので、
「2日後に亡くなりました。意識は戻りませんでしたけど、
家族や、親戚の方がお別れできたと思います。
僕が主張したように手術しなければ、2時間後には亡くなっていたと思います。
きっと、家族は戸惑ったままだったでしょう。
上司の判断の方が正しかったんだと思います。」と言うと、
「柳先生は半分の確率で手術中に亡くなっていたと。運が良かった。と言っていた。
手術中に亡くなれば、家族には会えないで終わったはずだ。
どちらの判断も正しい。と言ってたよ。
まあ、リュウって男が強引だから、君がいつも大変らしいな。
でも、信頼しあっている、いいチームだと言ってた。」と少し微笑んだ。