腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

その36。ツカサ

花嫁姿のウサギは初々しく、可愛らしい。
結婚が2度目の僕の親族は両親と弟の家族だけだ。
ウサギの若さに呆れた弟だったけど、
「10年も経てば、ツカサさんに似合うオトナになります。」と挨拶するウサギに
前向きな嫁だと笑った。
10歳の姪は、前の奥さんより可愛いと感想を述べて、周りのオトナに口を塞がれていた。
(前の妻は美人系で、都会の人って印象だ。)
ウサギはそれにもニッコリ笑い
「ありがとう」と姪の顔を覗き込んだ。
ウサギはどんどん強くなってるな。
まあ、ウサギの言い分だと、僕に愛されているっていうことだ。

病院関係者ばかりの招待客で、
披露宴の前の周囲の話題は
僕が2度目の結婚だってことや、年が離れてるっている事じゃあなくて、
柳部長の再々婚の娘ほど年の離れた妻の大きなお腹に集中していた。
ゆりちゃんは艶然と微笑み、バスタオルでお腹を大きくしておいた。って、僕に耳打ちしてきた。
これでオヤジは本当に父親になるって、院内の話題を独占だ。
逃げ道はないぞ、オヤジ。
まあ、僕は自分達の結婚についてとやかく言う声が聞こえて来なかったので、
肩透かしを食った形だけど、ホッと胸を撫で下ろした。


披露宴では、救命医の後輩たちの女性アイドルグループのモノマネの女装が大ウケで、
ウサギの同級生たちの替え歌のコーラスは綺麗な歌声で、大きな拍手があった。
キャンドルサービスでウサギの友人のテーブルでは、
美雨のご主人もカッコいいけど、美雨の勤める病院はイケメンが沢山いるんですね。
と、リュウと壮一郎さんは大人気みたいだ。
気に入らない。











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