腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

その5。ツカサ

5階から、エレベーターに乗り救急外来に戻る。
僕はクスクス笑ってしまうのが止められない。

あの子。
1年目の新人が付ける星の印のバッジを付けていた。
黒いくせっ毛に黒目がちの大きな目をしてた。
ウサギだって後ろ姿を見て思ったけど、
オドオドして、目を見開いて、震えてる感じはやっぱり、
小動物ってかんじかな。
やっぱり、ウサギだな。
とひとりで納得する。


次にあの場所で会ったら、驚かせた事を謝らないと。
あの子の後を付いてあそこの場所を知ったのは
黙っておこう。
とまた、あの子の驚いた顔を思い出して、
おかしくなって、ニヤニヤしてしまう。

僕はカンファレンスに遅れたのに
笑ったまま、リュウの前に立ってしまったので、
思い切り、不機嫌な顔を向けられてしまった。
失敗だ。
後から嫌味を言われそうだ。
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