腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
道を歩いていると、なぜかその人だけ道を尋ねられたり、声をかけられてしまう人がいる。
きっと、それがウサギだ。
僕が見かけるたびウサギは本来の目的とは思えない、
お年寄りの道案内や、赤ちゃんを抱っこしたまま、
あたふたと廊下をさまよっているところに出くわしているような気がする。
何をしているんだ?
僕はおかしくなって、1人でクスクス笑ってしまう。
僕と視線があうと真っ赤になって、ピョコンと頭を下げて、パタパタと忙しそうにいなくなる。
面白い。
僕は外来や、検査課に出かける時、
少し遠回りをして、ウサギの姿を探すようになった。
まあ、目的地もなく、ゆっくり歩く僕は女の子達に捕まってしまう。
というオマケがついてしまうけど、そんなことはまあ、気にしない。
ニコニコ笑って、受け流せばいいのだ。
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