腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
と。
ウサギが我に返って、僕から、思いっきりのけぞって離れる。
そんなに慌てなくっても、いいよ。
顔が真っ赤だ。
アッと僕は声を上げたけど、ウサギは階段を数段落っこちた。
やれやれ。
手を貸して立たせると、
「イタっ!」と座り込む。
僕は
「見せて。」と笑って、足首に触る。
細い足首のわりにふくらはぎにしっかり筋肉が乗っている。
運動していた足。と思う。
やっぱり、くるぶし腫れてきたな。
ウサギは痛そうに顔をしかめる。
きっと、捻挫だな。勢いよく落ちたわけじゃないし。


仕方ない。
と、僕がしゃがんで背中を向けると、
ウサギはますます赤くなっていく。
「おんぶするからつかまって。」
とはっきり言ったが首をブンブン横に振る。
「君はチビだから僕の肩につかまって歩けないでしょう?
それとも、お姫様抱っこってやつがいいの?」と口の端を曲げて、言うと、
しばらくためらってから、
「…本当にスミマセン。」と真っ赤な顔で言って、
僕の背中につかまった。


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