腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

その12。 ミウ

菅原先生が、「気晴らしにでも行かない?」と誘ってくれた。
お弁当のお礼。とわかっているけど、すごく嬉しい。
これはデート。かな?
いや、きっと、違う。
菅原先生はオトナで、バツイチオオカミで、
きっと、女の人はよりどりみどりだ。
それに、心の中に、奈々さんもいる。
きっと、こどもの私なんて、相手にもならないんだろう。


でも、いい。
気晴らしの相手。だって、
きっと、菅原先生を元気にできるかもしれない。
何にも用意しないで、車に乗って。と言われていた。
「お弁当なんて作られたら、お礼にならないし。」と笑ってくれたので、
何にも用意しないつもりだったけど、コンビニに着いたら、
あれこれ買ってしまってた。
恥ずかしい。
菅原先生の運転は、加速する時は、エンジンの音が響いて、
スピードがすっと出て、他の車を追い抜いていくみたいだけど、
止める時はそっと止まってくれるから、
ちっとも怖くない。車を運転するのが好きなんだなと感じた。
車の事はよく知らないけど、
室内も黒とブルーで統一されてて、革張りのシートだ。
きっと、高級車なんだろう。

機嫌よく私をからかってくる先生は、
うーんと年上なんて、ちっとも思えない。
楽しそうに車の運転をし、
FMのラジオから流れる音楽に合わせて
口笛を吹いている。


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