腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
海の側にある、遊園地と水族館がとなりあっているその場所には
1時間ちょっとくらいで着いた。
大きな白いジェットコースターが海沿いにあるその遊園地は、
こどもの頃に来たことがある。

「あの、ジェットコースターに乗りたいです。」
と白いコースターに向かって、私が走り出すと、菅原先生は
「おい、置いて行くんじゃない。」と笑って、
走って、追いついてきて、私の手を繋いで、ゆっくり歩き出した。
菅原先生の手は大きくって温かくって、すごくドキドキする。
「あの乗り物は逃げないから、慌てるな。」と、先生は息を整えながら、私の顔を見る。
「お前は、デートの相手を置き去りにして、なんとも思わないのか?」と言ったので、
私は驚いて、
「デートなんですか!?」と大きな声がでてしまった。
「…傷つく事を言うなよ」と先生がため息をついたので、
もっと、驚いてしまう。
「すっ、すみません。デートって初めてで、気がつきませんでした。」
と、菅原先生を見上げると、先生はちょっと笑って、
「デート初心者のうさぎさん。手を繋いで歩いてもいいですかね。
僕は足の速い君を追いかけ回すの大変なんでこうしておくと、
安心して歩ける気がします。」と手を繋いだままで耳元で、ささやいた。
私は耳まで赤くなったけれど、何度もうなずく
「じゃあ、出発。」
と菅原先生は、私の手を引いて歩き出した。
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