腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
「別に苦手ってわけじゃない。」と言いながら、歩くので、
「もう1回乗りたい」と私が上目づかいで見上げると、
「嘘をつきました。こーいうガムシャラな乗り物は嫌いです。」と肩をすくめて白状した。
「はやく言ってくれればいいのに。」といったら、
「ウサギが嬉しそうにしてたから、言えないでしょう。
大人のくせにこんなものにも乗れないなんて。」と口を尖らせる。
私は近くのベンチに先生を座らせ、コーヒーを買いに行った。
ベンチの戻ると、大学生くらいの女の子4人組に囲まれて、笑顔を見せている。
私は頭に血がのぼる。
先生は確かにカッコいい。背も高いし、整った顔をしている。
でも、でも、今日はデートだってさっき言ったじゃない。
手を繋いで歩いたじゃない。
私は買ってきたコーヒーをベンチに勢いよく置いて、
「もういっかい、乗ってくる。」とジェットコースターに向かって、走り出した。
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