腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
ジェットコースターの上で、
「先生のバカ〜っ」って大声で叫ぶとスッキリする。
私はヤキモチを妬いている。
彼女になったわけでもないのに、馬鹿みたいだ。

ジェットコースターを降りると、先生が出口で待っていた。
「菅原先生」と見つめると、
「手、離すんじゃなかったな。
追いかけるの大変だから、離さないで下さいね。
…ウサギのヤキモチ妬き。」と私の顔を覗き込む。
「妬いてません。」
「道を聞かれてただけだよ。」と言ったけど、
それをナンパっていうのでは?と溜息がでる。

先生は私の手を繋いで歩きながら
「あとさ、先生って呼ぶの止めてくれないかな。
すごーく、良くない感じだよね。
こう、先生と生徒の不適切な関係みたいだし。」と、私の顔を見る。
「ふてきせつ?」
「ツカサって呼んで。」と菅原先生はニコニコする。
「む、無理です。」
「つかさ」
「…無理ぃ」
「ツカサ。はい、言って。」い、イジワル。
「…ツカサ…さん」
「ま、いっか。ウサギ、イルカ見にいこう。」と笑う。私は
「ハイッ!」と大きく返事をした。
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