腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
イルカショーをみて、拍手したり、感心したりしてから、
帰ることにした。
夕焼けに染まる海岸線は少し渋滞していたけど、
海が色を変えていく様子がゆっくりみれた。
ウサギはずっと窓の外の景色を楽しそうに見ている。
早めの夕飯は、家庭的な寿司屋で、近海物が揃った店にした。
イワシのつみれや、大葉あげが売りだ。
ウサギは何度も美味しいと笑ってくれた。
よかった。
帰り道、助手席を覗くと、眠くなったらしく、うとうとしている。
僕は起こさないようにそっと運転する。
でも、無防備過ぎないか?
僕じゃなかったら、とんでもないことになってやしないだろうか?


時々目を閉じた横顔を眺めながら考える。
ウサギは何度でも僕が用意した罠に思いっきり引っかかる。
僕はウサギの驚いて真っ赤になる顔を楽しく見るけれど、
そんなにあちこちで罠に引っかかっていたら、森で生きてはいけないな。
すぐにオオカミの餌食になっちゃうだろう。
まあ、そのオオカミは僕だけとは限らないか。
とちょっと思い、
自分以外のオオカミをサッサと退治しなければ。
と思った自分にちょっと呆れる。
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