腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
初めて入った病児保育室の休憩室は
窓が大きく切り取られ、裏庭が美しく見える。
私をソファーに座らせると奈々さんは
「今日は栗ご飯にしてみました。」と笑顔を見せて、
綺麗な3段のお重を開けていく。
1段目は野菜の煮たものや、お浸しや、卵焼きが入っていて、
2段目はローストビーフや、鶏肉の照り焼きや、
ミートボールや、お魚のフライが入っている。
3段目が栗ご飯だ。
私はあっけにとられ、すごい。と呟く。
「昨日、リュウが当直でいなかったから、頑張っちゃいました。」と笑顔だ。
大きな取り皿に綺麗に盛り付け渡してくれる。
ゆっくりお箸をつける。
「すごく美味しいです。」と言うと、奈々さんは微笑んで、
「お料理を作るのも、食べるのも大好きなのよ。」と言った。
リュウ先生と、救急外来の先生が3人やって来る。レッドチームの人達だ。
リュウ先生が機嫌のいい声で、
「やあ、ウサギちゃん」と私に笑いかける。
なんで、ウサギって知ってるの?
「菅原は?」と聞くので、私は首を横に振る。
奈々さんが、
「私が連れて来ちゃったの。」と笑い、
「天野さんって、ウサギちゃんって名前なの?」と私に聞く。
私が顔を赤くして、首を横に振ると、
「そっか。ニックネームね。すごく似合ってる。」
と言ったけど、リュウ先生が
「俺が勝手に呼んだだけだよ。」と私に笑いかけた。
「もう、リュウったら、なんで勝手にそんな風に呼ぶかな。
天野さんがおどろいてるでしょ。」
と奈々さんはブツブツ言ってたけど、
リュウ先生は笑ったままだった。
私はなんだか訳がわからないまま、卵焼きに手をつける。
上品なお出汁の効いた、だし巻き卵だ。
私のとは、全然違う。
きっと、菅原先生もこのだし巻き卵を何度も食べているはずだ。
こんなに美味しい卵焼きを食べている人に
私の下手くそな、甘い卵焼きを食べてもらっていたなんて。
そう思ったら、悲しくなってしまった。
お皿に盛られたものを残さず食べて、
「ごちそうさまでした。帰ります。」と挨拶をして、
部屋を出た。リュウ先生が
「もうすぐ、菅原来ると思うけどぉ。喧嘩でもした?」
と、私に向かって、声をかけてくれたけど、
返事をせずにはしって逃げ出した。
窓が大きく切り取られ、裏庭が美しく見える。
私をソファーに座らせると奈々さんは
「今日は栗ご飯にしてみました。」と笑顔を見せて、
綺麗な3段のお重を開けていく。
1段目は野菜の煮たものや、お浸しや、卵焼きが入っていて、
2段目はローストビーフや、鶏肉の照り焼きや、
ミートボールや、お魚のフライが入っている。
3段目が栗ご飯だ。
私はあっけにとられ、すごい。と呟く。
「昨日、リュウが当直でいなかったから、頑張っちゃいました。」と笑顔だ。
大きな取り皿に綺麗に盛り付け渡してくれる。
ゆっくりお箸をつける。
「すごく美味しいです。」と言うと、奈々さんは微笑んで、
「お料理を作るのも、食べるのも大好きなのよ。」と言った。
リュウ先生と、救急外来の先生が3人やって来る。レッドチームの人達だ。
リュウ先生が機嫌のいい声で、
「やあ、ウサギちゃん」と私に笑いかける。
なんで、ウサギって知ってるの?
「菅原は?」と聞くので、私は首を横に振る。
奈々さんが、
「私が連れて来ちゃったの。」と笑い、
「天野さんって、ウサギちゃんって名前なの?」と私に聞く。
私が顔を赤くして、首を横に振ると、
「そっか。ニックネームね。すごく似合ってる。」
と言ったけど、リュウ先生が
「俺が勝手に呼んだだけだよ。」と私に笑いかけた。
「もう、リュウったら、なんで勝手にそんな風に呼ぶかな。
天野さんがおどろいてるでしょ。」
と奈々さんはブツブツ言ってたけど、
リュウ先生は笑ったままだった。
私はなんだか訳がわからないまま、卵焼きに手をつける。
上品なお出汁の効いた、だし巻き卵だ。
私のとは、全然違う。
きっと、菅原先生もこのだし巻き卵を何度も食べているはずだ。
こんなに美味しい卵焼きを食べている人に
私の下手くそな、甘い卵焼きを食べてもらっていたなんて。
そう思ったら、悲しくなってしまった。
お皿に盛られたものを残さず食べて、
「ごちそうさまでした。帰ります。」と挨拶をして、
部屋を出た。リュウ先生が
「もうすぐ、菅原来ると思うけどぉ。喧嘩でもした?」
と、私に向かって、声をかけてくれたけど、
返事をせずにはしって逃げ出した。