腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
連絡をとらなくなって、1ヶ月経った。
あいかわらず、菅原先生はメールを送ってくれる。
「ウサギの卵焼きが食べたい。」とか「また、ドライブに行こう。」とか、
「今日は当直明けだから、非常階段で待ってる。」とか、
私は心がぎゅっとつかまれたように苦しくなる。

先生は優しい。
でも、きっと、その優しさは私だけに与えられるわけじゃない。
会うと苦しい。
私だけを見て欲しいって思ってしまう。
先生は私が勝手にいなくなってしまったので、心配しているだけだ。



もう、11月半ばだ。
そろそろ、あの非常階段でお昼寝するには寒いに違いない。
私は決心して、連絡を入れる。

先生に今までみたいに会って、苦しくなるか、
会わないようにして、苦しくなるか
どうしたらいいのかわからないまま、
私が深夜明けのお昼休みの時間に待ち合わせる事にした。


私が非常階段につながる扉をそっと開けると、
少し、疲れた顔の菅原先生がそこにいた。
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