腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
「ねえ、桜子さん」とまたもや病児保育室の休憩室。
今日はリュウと桜子先生と、奈々ちゃんとランチだ。
「ウサギって、僕の事が好きじゃないのかなぁ?」
とため息をつくと、桜子さんが面白そうに笑う。
「いや、好きでしょう。私がからかったら、
すごーく真っ赤になってたし。どうかした?」という。
「そうだよねえ。僕はウサギは僕の事好きだと思ってた。
僕が好きだって言ったら、
『私の事、気にいったんですか?』って聞いてきて、
『少し考えても良いですか?』って言った。
なんだかおかしくない?」と、僕は顔をしかめる。
「へー。好きって言われたら、
好きか嫌いかって答えるものだと思うけど。
菅原先生、ウサギちゃんになんかした?」
「いや、特には。あー、でも、
久しぶりに会って嬉しくって、つい抱きしめましたけど、
それって、ダメ?」と奈々ちゃんに聞くと、
「…嫌がってなかったでしょう?」と、
奈々ちゃんはお茶を入れながら、笑う。
「固まってたかも。」と言うと、
黙って、聞いていた、リュウが笑い出し、
「苦労しそうだな。」と言った。

僕もそう思う。
頭の中で、困った顔のウサギが横切る。
それに、また連絡してこないし。
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