腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
警備員3人が駆けつけてきて、男をつれていく。
「リュウ、腕は?」と聞くと、
「痛え。でも、傷は浅そうだ。手もちゃんと動く。
…おまえ、ウサギは?」と聞かれ、慌てて、トイレに戻る。
トイレのドアの前で座り込んで震えているウサギに
「もう大丈夫だよ。」と声をかけて、そっと抱き上げる。
「リュウ先生は?」と震える声できくので、
「たいしたことない。」と言うと、気を失った。
オヤジがその子も救急外来に運べ。と僕にいう。
ウサギは真っ青な顔で僕の胸に顔を当て、目を閉じている。

リュウが
「痛くないように縫って。」とオヤジに言いながら歩いている。
オヤジは
「太い針で麻酔を打ってやる。」と笑う。
リュウが
「菅原、俺の代わりに働け」というので、
「了解です。」と笑って返事をした。
こいつらはいつも通りだ。
ウサギは大丈夫かな。
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