腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
救急外来の処置室はリュウと、オヤジの言い合いで賑やかだ。
僕は小さな診察室にベットを入れてもらい、ウサギを横たえた。
ベットの横に座って、手を握る。ウサギの手は小さい。
そっと、涼子さんが覗きに来る。眠るウサギの顔を見て、
「大丈夫そうね。あっちは処置が終わったわ。」と笑う。
「ん〜。起きたらパニックかな?」と僕が心配すると、
「先生が付いていれば直ぐに落ち着くわ。」とニッコリする。
「内科の師長と、看護部長が来てる。私が付いているから、先生は説明して来て。」
部屋の外に出ると柳部長に呼ばれた。
処置室で、師長達と、柳部長と話した。
これは傷害事件になるから、
きっと、彼女にも事情を聴かれるようになると思う。ということと、
彼女は1週間休ませようと思う。と話があった。
あなたは天野さんの恋人?と聞かれ、僕は頷いた。(相当なフライングだけど。)
「彼女のそばにいたい。」と言うと、柳部長が
「菅原、夏休みまだだったな。」といい、僕が首を縦にふると、
「正月休みは無しだ。1週間休みをやる」と言って、
「俺がリュウの代わりに働いとく。一応、アイツに助けられちゃったし。」と笑った。
やった。ウサギを1人にしないで済む。
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