腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
ウサギがお風呂から出てきた。
いつもの甘い香りがする。
でも、
高校生のようなジャージのズボンにトレーナーだ。
色気はない。
よし。
僕はぐっと、理性を保って、自然に見えるように努力する。

「ドライヤー、貸してもらえますか?」と聞くので、
洗面所の鏡の後ろの収納ボックスを教える。
洗面所は狭くて、ウサギが近い。
僕は息を止めて、ウサギの匂いを嗅いでしまわないように
注意する。
結構、アブナイ。
お風呂上がり女の子に会うのは1年半ぶりだ。
ちゃんと、襲わないように気をつけねば。

ウサギにケーブルテレビのチャンネルを選ばせ、並んで、ソファーで見る。
コメディの映画だ。
ウサギは最初は緊張していたけど、笑っているうちに、
リラックス出来て、のんびりできてきたみたいだ。

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