腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
夜、先にウサギをベットに入れる。
しばらく経ってから、覗くと
ぬいぐるみのジンベエ鮫を抱えて、眠っていた。
軽くぬいぐるみに嫉妬する自分がいる。
気を静めてから、隣の布団に潜り込み、数を数えると
ゆっくり、眠りが訪れた。


夜中にウサギが声を上げて、飛び起きた。
やっぱり、同じ部屋で寝ていて良かった。
ウサギは放心状態で、涙を落とす。
僕は布団から起き上がり、ウサギの手を握る。
「大丈夫。夢だよ。僕が一緒にいる。」と言うと、
「怖い夢だった。あの人が睨んでいた。」と、ポタポタ涙を落とした。
僕はウサギの隣に横になり、布団ごとウサギを抱きしめる。
ウサギは
「暖かい。」と涙を拭いて微笑み、僕の腕の中で目を閉じた。
ウサギの寝ている、規則的な呼吸を確認して、
僕は隣の布団にもどる。
良かった。
ウサギは僕の腕の中は安心なんだ。
そう思ったけど、
僕はオオカミなので、
ウサギの髪の匂いや、肌の匂いが気になる。

僕はそっと部屋を抜け出して、
リュウがアドバイスしてくれたように
夜中のシャワーに行くことにした。

バスルームにウサギのシャンプーなんかが幾つか並んでいる。
フルーツカクテルの香り。
と書いてある。なるほど、この匂いか。
妻がいなくなって以来のカラフルなボトル、
僕は意味もなく鼓動が速くなる。
頭から熱いシャワーを浴び、煩悩を洗い流した。
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