腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
カーテンを音を立てずに開け、窓を開けると、
冷たい冬の澄んだ空気が入ってきた。
明日から、12月だ。寒くて当たり前かな。
仕事は1週間も休みになった。
こんなに休むのは学生の時以来だ。
病棟は私なんかがいなくっても、構わないだろうけど、
先生まで休ませてしまうっていうのはどうだろう。

時折、昨日の出来事が急に思い出されて、
私の動きと、思考をストップする。
振り上げられた、松葉杖。床に散ったリュウ先生の真っ赤な血。
憎悪のこもった目。
私は、怖くなって、ギュっと目を閉じる。
きっと、震えているのだろう。
先生がそっと、手を握り、肩を抱いて、
「大丈夫。僕が側にいる。」と言ってくれる。
そうすると、安心して、私の思考は動き出す。

こんなに寄りかかってしまってはいけない。
先生が側にいてくれるのは
そう長い間じゃない。

1回寝たら終わり。

そう、自分に言い聞かせて、窓を閉め、
寒がりな先生のために、暖房を入れた。


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