Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
声は抑えているけど、お母さんは興奮状態だ。


怖い…



だけど、先生は平然としている。



「運動不足なのは、誰が見ても事実だと思いますね」


先生は、お母さんを真っ直ぐに見た。


「教育理念があるのは結構ですが、もっとお子さんの気持ちに寄り添われた方がよろしいんじゃないですか?」



そ…そんなこと、お母さんに言うなんて!


チラリとお母さんを見た。


目が煮えたぎってる!



もちろん先生は構わない。


「筋肉つけないと、勉強だっていずれ破たんするぞ。タケル見てみろ。授業が終わってもケロっとしてるだろ。香田は6限が終わると、よろけながら教室に戻ってくるじゃないか」



お母さんが、少し肩を落とした。



先生が真面目な顔で言った。


「レスリング部入るか?」




ひゃあああああ…!



「や、やめておきます…」

「ほら、お母さん」


先生が当然という顔をした。

「この子は自分で断れる子なんですよ」
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