Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「タケルが高等科に行かないって知ってんの?」


行かないんだ…

やっぱりそうなんだ…

「俺だったら好きな子がいるのに、他の学校に行ったりしない。タケルの気持ちなんか、その程度なんだよ」


タケルくんが居なくなる…


「キョコは、そんなヤツがいいの?」

「タケルくんが高等科に行かないのは、最初からわかってる。そういう約束だったの」

「約束?」

「ちゃんと約束したわけじゃないけど…言葉で約束したわけじゃないけど…だってタケルくんは理系志望だから」

矢倉くんは、意味が分からないって顔をしてる。

でも上手く言えない。

「ここは英語しか売りがないでしょ…だから一緒なのは中等科までだって…分かってた」




放送が流れた。


ー間もなく18時から 後夜祭が開催されます 片づけをしている生徒は 一旦 教室に戻って…ー



「幼なじみには敵わないってわけ?」

独り言のように矢倉くんが言った。

苦しげな声だった。

「なんにも…?」


胸が引きつれるように痛んだ。

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