Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
翌日もお母さんは病院に来た。

看護師さんは、厳しい表情でせわしなく働いている。



「清子…もういいよ。ありがとうね」

お母さんが言った。



「清子が死にたいなら、それでいいから。清子が死ぬなら、お母さんも死ぬから」


静かな声だった。


「清子が地獄に落ちるなら、お母さんも一緒に落ちるから」




お母さんは立ち上がって、病室を出ると沙奈を連れて戻ってきた。


沙奈が喉を詰まらせた。

「なんで!?なんでこうなるまで黙ってたの!!」


沙奈が泣きながら、お母さんを叩いた。


「お姉ちゃんは死なないって言ったじゃん!!」

「ごめんなさい…」

「ひどいよーーーーーっ!!」


鼻水と涙で、ぐちゃぐちゃになった沙奈が、お母さんを叩き続けている。


つーんと、頭の奥に痛みが走った。



私が死んだら、お母さんも死ぬ。

私が死んだら、お母さんが死ぬ。


そうしたら…




沙奈が一人になる。
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