Bu-KIYOびんぼう ～幼なじみと不器用な約束～

「お母さんに…言われて…」

でもその言葉は聞き取れなかったらしい。


「一緒に行ったじゃないか。覚えてないの！？」

「お父さんの…先生に言った言葉…お祖母ちゃんの丸写し」


お父さんが、不思議そうな顔をした。

「そりゃそうだよ。お祖母ちゃんはプロ中のプロだよ？お父さんは、お祖母ちゃんにどう言えば、先生に伝わるか考えてもらったんだ。現実問題、あれで先生は納得したんだと思うね。お母さんのやり方じゃダメだよ。相手だってプライドってもんがあるんだからさ」


疲れた…。


「そんな風に考えてたなんて、ガッカリだな」

「お父さん、ちょっとお話中ごめんなさい。心拍数がね…」

「うーん…！困ったもんだな！」



こんな器用さは要らない。

不器用でもいい。

自分の言葉で話してほしかった。


「お父さん…家族やる気がないなら…出て行って」