Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
お祖母ちゃが、キビキビとした口調で言った。

「離婚のことは、私は知りません。夫婦のことですから。でも清子ちゃんのことは、私の孫でもありますから、このまま放って置くことはできません」

「僕が沢山資料を持って帰ったじゃないか。あれはどうしたの?」

「みんな県外じゃないの…」

「娘の命が大事じゃないの?」

「あなた、入院して片手しか来てないのに!よく、そんな…!」



お祖母ちゃんが、手を上げてそれを制した。

「病室でケンカは止めてちょうだい。正しい考え方というのは、理性を持ってして初めて働くものです。二人とも疲れているみたいですから、今日は私と清子ちゃんの二人で話をさせてください」

「そうだね。母さんと二人で話してみてほしい。清子も病に憑りつかれて、冷静さを…」

「黙りなさい」

お祖母ちゃんにぴしゃりと言われて、お父さんは口をつぐんだ。


「清子ちゃん、アナタはどうしたいの?もう自分で決めることができるんじゃないかしら?」


しわがれ声で言った。

「お祖母ちゃん…」


お祖母ちゃんが、私の手を取った。

「はい。いいのよ。なんでも言ってちょうだい」

「清子って…誰なの…?」



病室が静まり返った。




お祖母ちゃんの手がこわばった。




「清子って」

お父さんが何でもないことのように言った。


「親父の前妻さんの名前でしょ?」
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