Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
沈黙の後に、混乱が訪れた。


「前妻さん…?」

「そうだよー」

「ちょっと!あなたは黙りなさい!」


いつも冷静なお祖母ちゃんが慌てた。



「それは今、話せることじゃないの」

「ずっと…『ぶっきよこ』って…、いじめ…られてたんだよ…」


お祖母ちゃんは、驚いた表情で黙り込んだ。


「誰なの…?」

「もっと元気になってからにしましょう。ね?」


お母さんが言った。

「そんなのないわ。清子が聞きたがってるんだから、話してやって下さい」


「そんな大した話じゃないと思うけどなー」

お父さんが言った。

「恩人ていうか…」


お祖母ちゃんが大きな声を出した。

「あなたは!もう!黙っていられないんですか!?」

「元気になる保証なんて、ないんです」


お母さんの言葉に、再び病室が静かになった。



「二人にさせて」

お祖母ちゃんが言った。
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