Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
その気持ちが病気だっていうなら、どうしたらいいの?


太りたいなんて、誰も思ってない。

「やせたーい!」ってみんな言ってる。


なのに、なんで私だけ病気だって決めつけられるんだろう?


食べたい。


本当は頭の中が、白米の事でいっぱいになる時がある。

あの炊きたての匂い、

口に入れた時のツブツブ、甘み…


気がついたら、炊飯器いっぱい食べちゃったこともあった。

水を飲みに来ただけだったのに、なんで!?


トイレで吐こうとしたら、お母さんが邪魔してきた。

「恨んでやる!!お母さんのせいでこうなったのに!!」

と泣き叫んだ。



手で作ったものは、作った人の汚い思念が入りこんでる。

それを体に入れるんだから、醜くなって当たり前なんだ。


食べれば食べるほど、自分が汚れていく。


だけど…

この空っぽな気持ち。


チャイ以上に怯えてる、お母さんの目。

必死でそれを守ろうとしてる沙奈。


傷つけて、傷つけて、

結局は自分自身も傷ついてる。



ベッドへ横になった。


怒った後はいつもそうだ。

また魂が体から離れて行く。



夜の海に私はいた。

波打ち際に、食べ物がたくさん打ち上げられている。


―難破したんだ―

知らないオジサンが教えてくれる。


波に洗われる家主のいない大きな巻貝。

手を触れたら、口の中がしょっぱくなった。


―砂漠の塩―


それ…なんだったかな。
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