Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
体を起こした。


あの…本、まだ読んでない。


紙袋に入れっぱなしになっていた本を取り出した。

錦志氷利…もう別の新作が出てるんだろうな…。



え?

本に手紙が挟まってる。



和風のカードだった。

中を開くと、ふっくらした十二単のお姫様がいた。


「…『修学旅行、集合場所まで一緒に行こう』」



スマホを手に取った。

震える手で、アドレス帳を開いた。


五回のコール音の後、懐かしい声が聴こえた。


「もしもーし」


涙が詰まって、声が出なかった。



「おーい。キヨ?」


泣き声しか出ない。


「どうした?」


思い切って言った。

「タっくん…助けて」


タケルくんが答えた。

「待ってました」
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