Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
タケルくんと毎日外へ出かけた。

と言っても半径3キロ圏内。

駅前とか、下の公園とか。


ファーストフード店に入って、ホットティーを少しずつ飲んだ。

それだって勇気がいる。


「合格しそう?」

「さあ」


ふてくされたように、タケルくんが言う。

今日は第一志望校の試験があって、初めて私から駅へ迎えに行った。

予備校で『絶対出る!』と言われたヤマが、まったく出題されなかったらしい。


「テスト作成してた先生が問題起こして辞めたんだって言われたけど、ニュースになってないよな?」

「うーん…でもお祖母ちゃんの学校もね、前の理事長は高齢で辞めたことになってるけど、本当はセクハラ問題みたい」

「うわあ。大人の世界ヤダな~」




外は北風が吹き抜けてる。

かなり着こんでいても足が寒い。

それでもタケルくんと話してると、時間があっという間だった。



大人の世界か…


「タケルくんは…」



言われたら嫌かな?


「なに?」

「何でもないっ」

「言いかけて止めるのナシ!」

「何でもないよっ」

「ダメだよ。気になる」
< 182 / 216 >

この作品をシェア

pagetop