Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
タケルくんがトレイを片づけてくれた。

「ありがとう…」



店を出て歩きだした途端、ぐっと手を握られた。

心臓が飛び跳ねた。


「あ、き、気づいてなかったから、だいじょうぶ…」


タケルくんは、いつもより早いスピードで歩く。

いつもは通らない線路脇の道を入った。



「ヤッタ」

タケルくんが笑顔でガッツポーズした。


「俺ら付き合って見えるって」



久しぶりに、まともに目が合った。



心臓が…!

心臓に負担を掛けてはいけないんだよ~~~!



口がきけないでいる私に、

タケルくんの手が伸びてきて、体が引き寄せられた。



「もう落ちてもいいや」

「よ、良くないよ…」

「もうずっとキヨと一緒にいられるなら、どうでもいい」



力が抜けた。

だけど、タケルくんの腕でしっかり支えられてる。



「ようやく、ここまで来た」


静かな声だった。

「もう絶対に離さない」
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