Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「それしか食べないの!?マジっすか!」

桜井くんが私のお弁当を覗き込む。


「桜井、うっさい!あっち行けっ」

と、カリンちゃんが追い払う。


「オマエに言ってるんじゃないの!キッコちゃんに言ってるんですぅ」

「キッコが迷惑してる。マジ、暑苦しい」

「ねぇねぇ!ラーメン食いに行こう!」



現在の私のあだ名『キッコ』

まだ言われ慣れないけど、ちょっと好き。


「ら、ラーメンは、ちょっと」

「嫌い?」

「ううん。でも食べるのが遅いからね、食べてるうちに伸びちゃうの…」

「かっわいいいい~~~っ」


なんて、なんてことを、軽く、かるーく言うんだろう。


カリンちゃんが、無常に切り捨てた。

「アタマおかしいわ、コイツ」

「やっぱキッコちゃんには、うちの学年にはない魅力がある!」

「オマエはもろ学年の恥だろ。スマホ!次で没収だからなっ」


最後のセリフは、担任の戸板先生だった。


かわいそう…!

そんなこと言われたら、傷つ…


「やっべぇ。褒められた」


桜井くんが目を輝かせた。

本当に喜んでる!?


「ドM!」

「違う。ソフトM。イタイイタイはダメ!戦争反対っ」


先生まで、たまらずに笑いだした。
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