Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
急に桜井くんがこちらを向いた。

「あんたのこと…本気で好き」

「え…?」


階段の踊り場だった。


秋の日差しが桜井くんの顔を照らした。


「寿司のこと、好き?」

「お、お寿司…?」

「じゃなかった!!違った!」


桜井くんが顔を真っ赤にした。


「あはははははは!」

思わず笑った。



桜井くんが弁解するように言った。

「だってラーメン食べないっていうから、寿司ならいいかなって…」


真剣な顔から、このセリフ。

なんだかツボに、はまってしまった。


「そんなに笑うなよぉ」

「ご、ごめん。でも可笑しくて」

「ねぇ、寿司なら行ってくれる?」

「あの私、そんなに食べられないから、行ってもね…」


まだ可笑しい…笑いすぎて涙が出た。


「お、面白いねぇ…桜井くんて」

「なんか話、ズレた…」


誰かが階段を上ってきたので、避けようとした。

「あ、」

桜井くんが言った。
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