Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「もう桜井としゃべってない?」


耳に息がかかる。

思わず首すくめた。



「しゃ…しゃべってません…」

「本当?」



心臓が壊れちゃいそう。

なのに、もっとタケルくんに近づきたい。


「あんなに楽しそうに話してたのに?」

「怖がっちゃってるよ…『あんなキャラの先輩と思わなかった』って」

「しゃべってるじゃん」

「沙奈から聞いたの!」


タケルくんの予想が当たり、沙奈は「アタシ、桜井先輩に目覚めた!」と突然宣言した。

家に帰ってもずーっと、桜井くんの話をしている。


お母さんも私も呆れて、

「そういうのって、秘めておくものじゃないの?」

「時代…かね?」

と意見が一致した。



「最近、写メこないから心配なんだよな」

「こなくても心配なの?」

「そういうことだね」

「あの写真、消してくれた?」

「消してない」

「もうっ!なんでー?」


急に体が横になって、唇が重なった。

力が抜けて、タケルくんに体を預ける。

それでもビクともしない。


唇から、ため息が漏れた。


「キヨが写ってるものを消せない」


またキスがきた。


「だけど安心すんなよ」


自分が食べ物になった気分…


「もっと俺に嫉妬して。俺がしたみたいに」
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