Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
文集を出席番号順にまとめて、席を立った。

学園訓の書かれた額が目に入った。


ふっと、あの頃と同じ空気の匂いがした。


失敗が怖くて、緊張して、あきらめて、逃げだしたくて、

だけど、

自分の命が向かう先を必死で探していた。






チャイムが鳴った。


大海原を渡るように、学園中に響き渡る。

窓の遠く、校庭の向こう側に、朝比奈会館が夕日を照り返していた。






正賢学園生は、


ー正しくあれ


ー賢くあれ


ー優しくあれ




「そして…不器用であれ」






【完】

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