Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
京都駅に着いたとたん、クラっときた。

スゴい人…!


「すっげ。想像以上だな…」

とタケルくんが言った。


「前に来たときと違う?」

「さすがに、ここまでじゃないな」


タケルくんが手を握った。

「突破するぞ」

気合いの入った声で言う。


「対策は立ててきた。電車で行ける所だけ回る。銀閣寺は、空き始める4時前に行く」


日帰りだから、あちこちは回れない。

リクエストを聞かれて、「銀閣寺と哲学の道に行ってみたい」と言った。


それを聞くとタケルくんは、じっと私の目を見た。

「良かった。俺もその近くに行きたいとこある」


本当かな?

心配してくれてるんじゃないのかな?


タケルくんは、地図も見ずに進んで行く。

「道分かるの?」

「覚えてきた」

すごい…さすがです。


急にタケルくんの歩みが遅くなった。

「キヨ、大丈夫?」

「大丈夫だよ」

まだ始まったばかりなのに…


タケルくんが観察するように私を見た。

「無理なんてしないよ!」

「そんなことさせない。だけど…」

いつの間にか手が離れていた。



「なんかあったら言って」

「私は、だい…!」

「あっちだ。電車、来てる」

タケルくんの背中を追いかけた。
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