Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「ようやくヤル気になった」

「わたし?」

「いや、俺」

「いつも頑張ってるよ」

「全然。高校入ってからは超テキトーだよ。あそこは何だって自由だし、部活も正賢と比べたら…沙奈ちゃんにだって勝てる奴いるのかな」

「あの子を一般的なレベルで考えないで…」


今年、全国の強化選手に選ばれたのに、

「もう止めたい。日に焼ける。体がゴツくなる。カッコいい人もいない。テニス部に入ればモテると思ったのに!」

と騒ぎ立て、それでも負けず嫌いなので続けてる。


「ヤバいな。キヨだけ受かったりして」

え…!

そ、そんなわけない。

そんなわけないけど…


「そ、そんな、そんなことになったら、わ、私だけ先に来ちゃいますからね…!」

「自信満々だ」

「わ、私だけ先に来て、勝手にキャンパスライフをお、謳歌しますからね!」


タケルくんの声から余裕が消えた。

「俺の操縦方法を覚えたな…」


顔を上げた。

すぐそこに、タケルくんがいる。


「そんなこと絶対にさせない」

唇が重なった。

「もう、どこにもやらない。誰にも渡さない」


今度はもっと深いキスがきた。
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