Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
すでに、タっくんの試合が始まっていた。

こんなに違うんだ…。


矢倉くんのプレーが風だとしたら、タっくんは山だ。

スピードはないけど、ボールがコートに突き刺さるように重い。

取っても取られても無反応。



「ゲームセット!」



勝った…んだよね?


タっくんは、相手選手と握手すると、嬉しそうな顔もせずにコーチの元へ戻った。



うわあ…矢倉くんが近づいて来る!

ユリエちゃーんっっ!



「一人で来たの?」

「う、うん」

「それ可愛い。似合ってる」



顔が!暑い!



「あ、ありがとう」


な、なにか、私もホメないと…
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