Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「だけど、キヨは頭いいじゃん」

ユリエちゃんは言う。


せめて、ユリエちゃんとまた同じクラスで良かった。


「良くないよ…お母さんが塾やってるから、やらされてるだけ」

「だって私なんて、このクラス入るのギリギリだよ?」


教室の入り口を見て、はっとした。



「光野~」



ユリエちゃんの名字だ。


矢倉くんがいた!

心臓が跳ね上がる。



「教科書、貸して」

「え~?また?」

「早く早くっ」



矢倉くんは、長い腕を邪魔くさそうにドアにかけている。

「あれ!私もないや!」

ユリエちゃんが言う。



「キヨ、貸してあげて」

「あ、あ…ああ」

意味不明な声を上げながら、慌てて教科書を探した。
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