Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
朝比奈会館は、学内で一番新しい施設だ。

通称『会館』と呼ばれていて、アイスランド在住の卒業生が設計した。


「『もう正賢ダサイなんて言わせない!』という熱意と、

『土地ならいくらでもある!』という気合いに満ち溢れ、

結局のところ田舎根性まるだしの建物」

と、聖愛ちゃんは英文の課題で発表していた。

それを聞いたマクドネル先生が、

「寄付金の問題があるから、それは心の冷蔵庫に閉まっておくように」

という意味のことを言った。


私は好きなんだけどな…。

優しさが感じられる建物だと思う。

ハチミツ色の階段で三階まで上がり、北欧カラーのテーブルやイスが並ぶ学習スペースを通り抜けると、いつの間にかそこが図書室になっている。

すぐに今週の新入荷コーナーをチェックした。



あ!

錦志氷利の新刊が出てる!



すぐに手に取って、貸出コーナーへ行った。


受付の高校生が笑った。


「第一号!」

「あ、そうですよね…ラッキーです」



高等科の女の子だ。

時々、顔を合わせる。



「私、買っちゃった!面白いよ~。もう最高!」

「わあ…楽しみです」




席について夢中で読み始めた。


嬉しい!


大人気作家で、借りるのが遅れると何か月も待たないといけない。

いつもはタっくんが貸してくれるけど、今は交流がないから…
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