Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「キョコ」

と呼ばれて我に返った。


矢倉くんが立っていた。

もう外は真っ暗だ。



「すっごい集中!」

「面白いんだもん」

「ふーん…」



本をしまおうとすると、矢倉くんに突然取り上げられた。



え…?




「これ…タケルも持ってた」

「ああ、やっぱり」



矢倉くんが怖い顔をした。


「『やっぱり』って…なんだよ?」

「だ、だって…いつも…」


買ってるの知ってるから…と言おうとして、急ブレーキをかけた。


「売上一位だから…」


ちょっと間があった。

矢倉くんは納得したように、本を返してくれた。


「そっか」

「うん」
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