Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
もう人が少ない。


受付の高校生が、台を片づけ始めている。



「あ…!」


本棚の間に体が引っぱられた。


腰に矢倉くんの腕が絡まり、頭が引き寄せられる。




強っ…。



キスされてる…!



強引で熱っぽいキスに、体がのけぞった。



アタマの中が真っ白になった。


ここ、どこだっけ?

何してるんだっけ?




「片付いた~?」

「まだ日誌書いてないや」



はっと我に返った。

腕の力が緩んで、矢倉くんが切実な目で私を見た。



「今度の日曜、どっか行こう」

「どこ…?」

「どっか」



矢倉くんが私のカバンを持って、出口に向かった。


窓口で本を差し出した。

「返却で…」

「へ?もう読んだわけじゃないよね?」

「また今度…」


逃げ出すように、矢倉くんの後を追った。
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