Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
買い物が終わって、公園を散歩しながらいろんな話をした。


「最近、親の言う事が分からなくなっちゃう時があって」

「そうなんだ?キョコの家、厳しいそうだよね」

「厳しいわけじゃないけど…自由が少ないかな…」

「塾やってるんでしょ?やっぱ勉強ばっかりさせられる?」



うーん…

なんだろうなぁ…


「…服とか家具とか、この間はカーテンとか、勝手に買ってきちゃうの。『コレいいでしょう?気に入ったでしょう?』って。勉強もそんな感じ」

「ふーん。俺、何も言われたことない。挨拶しろとか、それくらい」

「信じてるんだね」

「うちの親は、子供よりも自分の趣味に夢中だから。一年中、ダイビングのことしか考えてない」



風は冷たいけど、つないでいる手は暖かい。




「今から、うち来ない?」

「え…」

「まだ時間、平気でしょ?」



人の家にお邪魔するなんて、久しぶり。

いいのかなー。緊張しちゃう。



矢倉くんが笑った。


「緊張してる?」

「うん」

「大丈夫だよ」

< 73 / 216 >

この作品をシェア

pagetop