Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
矢倉くんが、私の顔を無理やり自分の方へ向かせた。



「なんで?」


答えられない…だって…




「俺のこと好きじゃないの?」

「そうだけど…」

「じゃあ何だよ?」



言葉が浮かばない。


怖いから…

不安だから…



何も言わない私に、耐えかねたように矢倉くんが言った。


「好きなら、するのが当たり前だろ」

「ちょっと…まだ…」


言った瞬間、自分でも嘘だと思った。



「ナニそれ?」


矢倉くんが体を起こした。



寒くないのに、体が震える…



矢倉くんが、大きなため息をついた。

「別にいいけど」
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