Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
聖愛ちゃんが言った。

「そんなの好きな男が被ってるからに決まってんじゃん」

「アンタ!ちょっと何言ってんの!それは聖愛の妄想でしょ!」

「妄想じゃあないよ~。定番じゃん」

「定番でモノを言うなっ!」



それは…ない…。

だって、あんなに応援してくれてたんだから。



テニスコートの動きが緩くなってきた。

あ、タっくんが話しかけてる。


心臓がギュって縮まった。




ユリエちゃんが何かを言い返してる。

でもタっくんは、落ち着いた様子でユリエちゃんをただ見ている。



ユリエちゃんが、地面に膝を落とした。



「泣いている…」

「え、うそ」

「マジか」



聖愛ちゃんが窓のカギに手を掛けた。

「や、やめなさいって!聖愛!」


でもそのまま窓は開いた。
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