Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
教室から人が居なくなっていく。

矢倉くんが立ち上がった。


目も合わせずに、私がいる場所とは別のドアから出て行こうとした。


慌てて、矢倉くんを追いかけた。


「あ、あのっ!」



矢倉くんが立ち止まった。


ぐっとノドが詰まったけど、必死で言葉を絞り出した。


「この間はごめんなさい」


矢倉くんは何も言わない。


「こ…これ…」


チョコレートを手渡した。



「俺、もう別の子と付き合ってるから」


…え?


……なに?



伸ばした手が行き場を無くした。


矢倉くんを見上げた。


「じゃあね」



矢倉くんが階段を降りて行く。



それだけだった。


それで終わりだった。
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