魔王スサノオ降臨
Ⅲ、突然の来客
コーヒー飲みながら、静かなBGM聞いて、いい気持。
コロンとミーも、気持ちよさげに夢の中。
そんな、ある日の昼下がり。
階下から、ロイの声。
ロイは、私がベトナムに来てすぐに知り合ったベトナム人の青年。
今では、私の弟のような存在。
私の部屋は2階建の家の2階。
1階には奥にキッチンとトイレ兼シャワールーム。
そして、入り口側のスペースでは、ロイがバイトを使って、テイクアウト専用のジュースショップをしている。
毎日、9時頃に来て、夜8時頃には閉めて帰ってる。
そのロイが、Shoko! Customer is coming って。
ロイはベトナム人だけど、英語が話せるので、私との会話はもっぱら英語。
でも、お客様って・・・
私の知り合いで、この家を知ってる人なんていないはずなのに。
首をひねりながら、階段を下りていく。
そしたら、ロイと談笑している1人の日本人らしき女性。
年齢は40代半ばくらいかなぁ。
でも、顔には見覚えがないんだけど。
更に、なにか不自然さを感じる。
一応日本語で、何か御用でしょうか。
私に気づいて、その女性が近づいてくる。
翔子様ですね、お会いできてよかったです。
あの~、どちら様でしょうか?
なぜ、ここに私がいることがわかったのですか?
ああ、そうですよね、突然知らない人間が来たら驚きますよねっと微笑みを浮かべながらその女性・・・
私の名前はアメノウズメ、芸能に関する仕事をして、その昔は舞いをしていました。
今日は、翔子様に、とても大切なお話があります。
えっ、雨野さんですか?
芸能?舞い?いったい何のことなの。
どういうお話でしょうか?
あの、ここではちょっと、どこか落ち着ける、静かな所に行きませんか。
あっ、はい、わかりました。
着替えてきますので、少しお待ちいただけますか?
はい、結構ですよ、ゆっくりと用意してください。
急いで2階の部屋に。
いったい何者なんだろう。
近くで見たけど、今風の人とは全然違う感じだし。
すごい美人なんだけど、まるで絵で見る神様の顔。
スタイルも、細すぎるくらいにスリム。
そういえば舞いをしていたって言ってたね、そのせいなのかな。
雰囲気から、日本舞踊ってこと?
なんて思いながら、準備をして、コロンに行ってくるね。
コロンも心配そうな顔で、私を見てる。
じゃあね、クーラー点けとくから、お留守番お願いね。
1階に戻り、雨野さんお待たせしましたぁ。
静かな場所かぁ、この辺りじゃないわね。
1区まで出ましょうかで、道路まで歩いてタクシーに。
でも、雨野さん、歩き方も静かで、まるで道の上を滑ってくるみたい。
ホーチミン中心部の静かなカフェに入って、改めてごあいさつしましょう。
改めてはじめまして、山田翔子です。
こちらこそ、突然でごめんなさい、アメノウズメです。
あの、すみません、雨野が名字でうづめが名前なのでしょうか?
ホホホ、そうですよね、変な名前ですよね。
この名前も後で説明しますね。
翔子様、これから話すことは信じられないと思います。
でも、とにかく最後まで聞いてください、お願いします。