魔王スサノオ降臨

Ⅳ、意味不明の話


では、まず、私のことからお話しします。
翔子様は、日本の神話をご存知ですか?
はい、一般的なことなら
天岩戸のことはご存じ?
天岩戸・・天照大神(アマテラスオオミカミ)様がお隠れになったという神話のことですね。
そうです、暗闇になってしまった世界に困った神々が、お隠れになった天照(アマテラス)様のご出現を願い、岩戸の前で宴を催し、天照(アマテラス)様が何事かと少し岩戸を開いた際、腕力・筋力を象徴する神アメノタヂカラオ様が扉を開いて、再び世界に光が戻ったという話です、ご存じですよね。
はい、その神話は知っています。
その時、岩戸の前で舞いを舞った神の名は、覚えておられますか?
え、えっ、ア・メ・ノ・ウ・ズ・メ・・・どういうことです!
驚かせてごめんなさい。
わたしは、そのアメノウズメです。
大昔の女神様が何故、そんなの信じられません、あっ、その血をひく子孫の方?
それにしても、神話の世界の話だし・・・
最初にお願いしました、とりあえず最後まで聞いてください。

私は、アメノウズメ、月読命(ツクヨミ)様の意を伝える者として参りました。
月読命(ツクヨミ)様はご存じですか?
あ、ああ、天照様の妹神ですよね。
須佐之男命(スサノオノミコト)様と3人兄弟だったような。
そうです、よくご存じですね。
その、月読命(ツクヨミ)様から、翔子様に大切なお願いがあるのです。
え~、私に、ただの普通の人間ですよ。
翔子様は知らないだけなのです。
翔子様は、この世界でただ1人、唯一の資格を持ったお方なのです。
でも、急にそんな事言われても・・・
そうですよね、でも、私と月読命(ツクヨミ)様の事は、分かっていただけましたね。
はい、今私が、神話に登場する神様と話してるなんて、到底信じられないですが。
ホホホ、でも事実なんですよ。
とにかく今、天界・・いえ、この人間界で大変なことが起こっています。
残念ながら、天界の神では、もうどうしようもないのです。

3日後、月読命(クツヨミ)様が天照(アマテラス)様の代理として、翔子様に会いにこられます。
その時、翔子様が落ち着いてお話を聞いていただけるよう、まず私が説明に来たのです。
何のために、月読命(ツクヨミ)様が私に会いに来られるのですか?
とっても大切なお話をされるためです。
一体、どんな話を?
私が今言えるのは、この世界の終末に関わること、ただそれだけです。
それ以外のことは、天照(アマテラス)様と月読命(ツクヨミ)様しかご存じありません。
いいですね、この3日の間、心を静めて、平常心で月読命(ツクヨミ)様に会えるようにしてください。
現代人と神話の神、接点などあるはずもないし、ましてや一緒にお話しなどできるはずもありません。
でも、これは夢でもなく事実なのです。
この現実を受け入れて、どうぞ平常心で月読命(ツクヨミ)様のお話を聞いていただいて、賢明なご判断をお願します。

私の話はここまでです。
3日後また、ここにお出でください。
時間は、それまでにご連絡します。
ご連絡って、電話?メール?どういう連絡・・・
御心配の必要はありません。
安心してお待ちください。
今日は、本当にありがとうございました。
実は、もっと心を乱されるのではと心配していたのです。
さすがに一族の血を引くもの、アメノウズメ感服いたしました。
えっ、そう感服されても、その一族ってなんですか?
全ては、月読命(ツクヨミ)様が明らかにされます。
本日お会いできて、更にはお話まで、アメノウズメ忘れることはございません。
では、ここでお別れします。
どうぞ、先にお帰りください。
では、また、お会いできる日を・・・
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