魔王スサノオ降臨
Ⅴ、天界の使者
家に帰って・・・
一体どういうことなんだろう。
さっきまでの事は本当だったの?
アメノウズメ様って、天岩戸の前で舞いを舞った女神様本人に会ったって。
こんなこと、誰かに話したら、頭がおかしくなったって思われるだろうなぁ。
100歩譲って、さっきまでのことは本当だとしても、3日後に月読命(ユクヨミ)様と会う?
天照(アマテラス)様の妹、神話の中心人物と会って話するの?
大切な話って、何?
ああ、頭が変になりそうだわ。
でも、この3日間で、覚悟を決めないと・・・ところで、一族の血を引くものって。
なんの一族なんだろう。
五百井(イオイ)家のことなのかなぁ。
でも、五百井(イオイ)の先祖は宮大工なんじゃないの。
わかんないことばかり、でも、3日後には全部わかるって言ってたよね。
とにかく、それからのことかぁ。
そうだよね、コロン。
なんか、大変なことになっちゃったねぇ・・・ワン!
3日後、同じカフェ。
昨日、夢の中にアメノウズメ様が出てきて、午後1時だって伝えてくれた。
夢の中って、やっぱり神様はすごいね。
今、12時45分、少し早目に来て、心を落ち着かせるように。
アイスコーヒーを飲みながら、待つこと15分。
1時ジャストに1人の女性が、近づいてきた。
アメノウズメ様以上の典型的な日本美人、間違いない、月読命(ツクヨミ)様だ。
私も立ち上がって、お迎えをする。
翔子様ですね、月読命(ツクヨミ)です。
はい、はじめまして、光栄です。
とりあえず、座りましょうか。
何か飲まれますか?
人間の飲み物しかないのですが・・・
翔子様は何を飲まれているのですか?
冷たいコーヒーです。
では、私も同じものをお願いします。
はい、注文しますね。
エム・オイ|(ちょっと)
チョートイ・モッ・リィー・カフェ・ス・ダー|(ベトナムのアイスコーヒーをお願します)
これが、コーヒーというものですか?
神である月読命(ツクヨミ)様のお口にあいますかどうか・・・
いえ、美味しいですよ、これは。
天界では、経験できないお味です。
これを飲みに、ちょくちょく下りてきましょうか。
翔子様、お相手をしていただけますか?
御冗談を、月読命(ツクヨミ)様は気さくな方なのですね。
ホホホ、神と言っても、そう堅苦しいものではありません。
人間と、そう変わりないのですよ。
さて、天界の神と話をすることは、もう大丈夫ですね。
はい、大丈夫です。
よろしいですか、早速ですが話に入らえていただきます。
私は、天界の最高神である天照(アマテラス)の御意向を伝えにきました。
お願いです、どうぞ、我々に力を貸してください。
今、人間界は破滅の手前にあるのです。
天界としても、それを見過ごすことはできません。
魔界の悪魔共がこの人間界を破壊して、魔界のものにしようとしています。
もし、そうなれば、天界・人間界・魔界のバランスが崩れて、神・人間・魔族全ての大勢の者が消滅してしまいます。
魔族の者達は、そういった成り立ちのことは知りません。
自分達の世界を大きくすることだけを考えているのです。
これまでは、この3重の世界の行き来が制限できていて、バランスを保っていました。
しかし、その制限が壊されようとしているのです。
それは・・・どういうことなのですか。
それに、アメノウズメ様にも申し上げましたが、私は唯の人間の一人ですよ。
私になにかできるのですか?
もう、お覚悟はできているようですね。
では、これから、全てをお話します。
少し長くなりますが、じっくりとお聞きください。