魔王スサノオ降臨

Ⅲ、避けられない運命


ふぅ~、どうやら、御辞退するなんてことは無理なようですね。
そうですよね、私にとっては神話の世界の中の月読命(ツクヨミ)様が目の前にいて、話をしている。
まだ信じられないことばかりですが、受け入れないといけないのですね。
翔子様・・・
でも、もう少し、今の平穏な生活を続けたかったなぁ。
まさか、こんな映画のようなことになるなんてね。
そして、自分がそんな大きな一族の血縁者だったなんて。
やっぱり、光栄に思わないといけないんですよね。
そんなことはありませんよ。
我々の力不足なんです。
影の動きを止められなかったのですから。
影を抑えられていたら、翔子様にこんな過酷なことをお願いすることもなく・・
なにも知らないまま、平穏な生活を続けていただけたのです。
本当に申し訳なく思っているのです。
月読命(ユクヨミ)様、いいのです。
これが私の定めだったのでしょう。
お話聞いていて、わかったのです。
もう、私には子孫を残すことができません。
伝統ある五百井(イオイ)一族の陰陽師(オンミョウジ)役、私で途切れるのですよね。
なので、長く受け継がれた血が絶えてしまうまでに役目を果たして、もう陰陽師(オンミョウジ)など必要のない世界に・・・
きっと、御先祖様が、そう私に言っているのだと思います。
役目を全うせよと。
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