魔王スサノオ降臨

Ⅱ、大蛇(オロチ)の楔(クサビ)


さあ、梁に固定された、8匹の龍が空を飛ぶ木画を探すんだ。
そこに、大蛇(オロチ)の楔(クサビ)が封印されている。
暗いな、どれが龍の画だ。
うん、これではないのか・・・あったぞ、龍の画だ。
よし、外せ。
この木画は魔族の者しか外せないのだ。
どうだ?
間違いない、これだ。
ついに、最後の3枚を手に入れる時がきたぞ。
まだ、壺に血は残っているな、こっちにくれ。
木画の額の部分に、数滴の血をを落としていく。
そうすると、どういうことだ、見る見る龍の姿が、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に変わっていった。
八つの頭の内、3体分だけの大蛇(オロチ)の目が赤く輝いている。
そうだ、他の5体分は、我が魔族が結界を張られる前に持ち去っていたのだ。
この3体の楔(クサビ)が、この世を滅ぼし魔族の世になる素になるのだ!
残った血を、3体分の大蛇(オロチ)の上に垂らしていく。
その血は、まるで大蛇(オロチ)が飲み干しているかのように口の中に流れ込み、大蛇(オロチ)の頭に、真っ赤な楔(クサビ)が現れた。

これが大蛇(オロチ)の楔(クサビ)・・・その楔(クサビ)に手を出そうとした影の一つを、慌てて制止するもう一つの影。
触るんじゃない、まだ終わっていない。
触れば大やけどをすることになる。
魔族の者でもそうなるんだ、もし、神や人間が触れば、体が焼け焦げて溶けてしまう。
それほど、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の呪いは大きいのだ。
もう少し、待つんだ。
しばらく待っていると。真っ赤だった楔(クサビ)が、青く変色していく。
おい、お前、血の入っていた壺に水を入れてきてくれ。
ほら、水だ。
よし、最後の仕上げをするぞ。
間違えれば、我々はこの場で消滅する。
えっ、そうなのか。
だから、静かに見ているんだ。
3つの楔(クサビ)に、まず1滴ずつ水を落とす。
次に3滴、そして2滴、青い楔(クサビ)が少しずつ黒くなっていく。
最後に2滴の水の玉が落ちた時、内に籠るような唸り声と共に、大蛇(オロチ)の頭部の形をした、黒い石になった。
それは、まるで、怒りに満ちた真っ赤な目が、静まって青くなり、目を閉じるように黒くなっていく様であった。

よし、ここでの仕事は終わったぞ。
これで、次の計画を始めることができる。
もう、この神社に長いは無用だ。
フフフ、結界のなくなったこの社殿も、やがて朽ち果て、崩れ落ちる。
これからどうするんだ?
これからわれらは、出雲に向かうのだ。

< 4 / 32 >

この作品をシェア

pagetop